2025年1月14日火曜日

月探し

カメラは特に趣味ではないのでスマホしか使わないのですが、先日こんな外付けの望遠レンズを買ってみました。ポケットサイズですがスマホでもわりと遠くまで撮れました。

せっかくなのでもう少し月の写真を撮ってみようと思い、建物などの背後に月を配置した構図で撮れないかと考えました。例えば満月と東京タワーが重なって見える写真はいつどこから撮れるのかと考えると、計算はできそうですが候補はたくさんあります。

そこで、月が見える位置を地図表示する Web アプリを作ってみました。日付と対象物の位置と、月を配置したい高さ (東京タワーの場合 300m 前後) を指定すると、その背後に月が見える場所や時間がプロットされます。慣れない python でしたが今回は大部分を AIに作ってもらったらあっさり完成。

高さや日時によって見える場所も刻々と変化するのでこの中から場所を選びます。ただ、まず晴天であることと、他の建物などに邪魔されずに見える場所を探すのが大変でした。Googleストリートビューなどで当たりをつけますが、現地に行ってみたら街路樹が茂っていて見えなかったり…

撮ってみた写真たちです。三脚や望遠レンズすら使っていないものもあって写真の質は度外視ですが、構図を予測して狙えるのはなかなか楽しいです。

 

こちらは応用編です。羽田からの離陸直後で多くの飛行機がだいたい同じ位置を通る場所をターゲットにしてみました。飛行高度がまちまちなので運に左右されますが、月が昇りきるまで何度かの離陸チャンスで祈ります。期待通り飛行機が横切ってくれましたが、近すぎて大きくなりました。


どこか旅行に行ったときにでもまた試してみたいと思っています。

2024年1月6日土曜日

自動式グラスハープ

以前作った鍵盤グラスハープを時々人に見せたりしていましたが、鍵盤を叩く音がうるさいのが気になっていたので自動演奏用に拡張してみました。

今までのシステムでもやろうと思えば自動演奏は可能でしたが、外部 PCのアプリを書き換えて一曲演奏みたいな煩雑な形だったので、この機にシステムを整理しました。

  • 波形生成用の Raspberry pi の一つに演奏データ配信サーバを追加
  • WiFi 接続のスマホから曲の再生操作
  • ついでに自己演出もできるように音連動制御の LED を追加


結局本質的ではない 26音分の LED 追加工作に製作時間の大部分を費やしました。スマホのコントローラーは、ずっと前にピアノ連動企画で作ったアプリの流用です。


曲データを2オクターブの音域に収めるよう考えるのは面白いですが、あと一音欲しくなったので最高音の A6 のシャンパングラスを購入して追加しました。グラスの属性として A6 という表現は聞き覚えがありません。

有名なジブリ曲のデータをいくつか作成してデモ動画を作りました。録音やノイズ除去がなかなか難しく、生音の方がもう少し良い気がします。

2023年6月17日土曜日

旅行の思い出

しばらく趣味の技術開発をやっていません。本業の方でおなかいっぱいなのと、気力の減衰、老化と、他の趣味が増えてきたのと…など理由はありますが、このページの更新もずっと止まっているので最近の小さな工作の話だけ。

コロナ時代になってから何年も海外に行っていませんが、昔の旅行写真を部屋に飾りたいと思い、気に入ったものをまとめて額に入れたフォトパネルを作りました。

25年分の写真から気に入ったものをがんばって選抜し、サイズを揃えるためトリミング調整などしてからプリントしました。並び順に迷いながら台紙に軽く貼り付ければ完成です。


撮影は時代と共に変わるちゃちいカメラやスマホですが、飾ってみたら思ったより満足度が高かったのでもう一枚作製。こちらは旅先の人々の特集というテーマで。


これらの写真を撮った旅行の記録を長年だらだらと書き留めていましたが、この機にスマホ対応のフォーマットに一新しました。⇒ 旅記

2022年2月10日木曜日

鍵盤グラスハープ (3) 演奏, 収録

演奏

最終的な微調整は特に語ることのない地道な作業ですが、わりと手間がかかっています。グラス毎のアームの位置、鍵盤を叩く強さに応じた波形調整、音量を揃える調整などです。グラスごとに音量が違うのでなるべく揃うように調整していますが、いまだにうまくいきません。

演奏前はグラスごとに水量を調整して音程をチューニングします。対応する周波数で加振しながら水を加えていくと、ちょうど良い量になったとき音が大きくなって水面が波立つので意外と簡単です。


完成後は期待以上に普通の楽器らしく演奏できて楽しめました。2オクターブの制約がありますが、音域の拡張を考えるより今の範囲で収まる形のアレンジを考えたり、ピアノと多重奏するなどの使い方を模索しています。

収録と照明

どんなものになるか分からなかったので当初動画作りは計画していませんでしたが、わりと楽器らしくなって面白かったので動画で公開しました。

撮影のため照明による演出も最後に追加することにしました。以前このページでも度々紹介しているピアノプロジェクションシステムの流用で、久しぶりに一式を引っ張り出して設置しました。
グラスハープだけでも邪魔なのにプロジェクタも加わって、生活空間がだいぶ浸食されています。

楽器としては内蔵マイコンで完結していましたが、これのために PC を一台挟む形にしています。

楽器の音量が小さいので、収録のときは鍵盤を叩く音とプロジェクタの冷却ファンの音が気になりました。結局一旦演奏パターンを MIDI 録音して音の収録は別撮りしています。

MIDI を再生できるので、オルゴール的に演奏させたりもできます。

もはや自分用の記録ですが長々と書きました。
追加したサンプル演奏動画は過去最低の再生数を叩き出してやはりマニア向けだった模様です。

ニコニコに寄せられたコメントで笑った "人知れず死んだ博士の研究室でホコリ被ってそう" はわりとリアルな気もしてきました。

2022年1月30日日曜日

鍵盤グラスハープ (2) グラス, 音作り

グラス

マイコンやソフトの準備と並行して、キーパーツのグラス収集を始めていました。200~2000円くらいのものまで様々です。

最初は数量少な目で様子見して、だんだん数を増します。欲しい周波数と音色のグラスに当たるまで延々グラスを買い続ける熱いグラスガチャ(割れた音みたいだ)が続きました。店でグラスを見かけると周波数や音色を想像する病気になります。

本物のグラスハープでは演奏のためグラスの高さをなるべく揃えるそうですが、この製作ではその制約がないので自由に買い集めました。最終的な配置も、コーラス隊をイメージして段差をつける形にしてみました。


振動スピーカーは最初に数個買って試したあと、安かった AliExpress でまとめ買い。届くまで 1ヶ月くらいかかったので開発ペースはゆっくりです。

グラスにスピーカーを取り付ける構造は当初からわりと悩みました。レーザーカッターでアクリル加工し、ある程度の圧で振動スピーカーをグラスに押し付けられるアームを作りました。外観も良い感じにしたかったのでネジやゴムも透明なものを使いましたが、結局配線材を赤黒で妥協して台無しにした感もあります。


音作り

楽器として、打鍵からグラスを鳴らすまでの遅延の最適化にこだわっています。
実際 MIDI 受信やマイコン間通信による遅延はほとんど問題なく、リアルタイム波形生成のためのソフト設計やサウンドデバイスのバッファサイズ縮小のあたりが効きました。初期は 100[ms] 程度の遅延があってまともに演奏できませんでしたが、最終的には…正確に計測していませんが違和感なく弾けます。

音色を改善しようと指演奏の波形を周波数解析して似た波形をぶつけることを試行錯誤しましたが、期待したほど改善が見られなかったので結局今はほぼ正弦波のまま使用しています。本物のグラスハープとは違いますが、わりと楽しめる程度のアナログ的な音になってきました。

また、ピアノ音のようなアタックと減衰が欲しかったので、そのあたりの波形を作りこみました。減衰率などは曲に合わせて調整できるようにしています。


マイコン x 6, グラスと振動スピーカー x 25+予備 を大購入し、机の上に嫌がらせのように並んだあたりからはもう後には退けない状態です。その後も追加で必要になったパーツを次々買い足しながら突き進み、投資やギャンブルで破滅に向かうようなモードです。

初期の試作

演奏と収録についても書こうと思うので、もう少しだけ続きます。

(3) 演奏、収録

2022年1月25日火曜日

鍵盤グラスハープ (1) 構想, システム

大きな工作をしたので、ほぼ廃墟化していたこの blog を一年半ぶりに更新です。


鍵盤で演奏するグラスハープ(もどき)です。個人の工作では過去一で手間がかかっています。

構想

ピアノ鍵盤で別のアナログ楽器を弾けないかと考えたのは10年くらい前でしたが、良いネタがなかったので思いつきのまま眠らせていました。昨年なんとなくそれを思いだしていて、グラスハープは初心者が安定して音を鳴らすのが難しい、早いフレーズや和音も出せるが難しいなど、鍵盤化のメリットがあって向いている気がしました。単純な構造で鳴らせそうな可能性を感じられたのもきっかけで、構想が始まりました。

とは言え大規模な工作なので本気で踏み切るのはだいぶ先です。材料大購入して後悔する様子が目に浮かぶので、まず単音を弾く系の実現性検証が延々続きます。

動画の 00:30 付近に、振動スピーカーでピアノ音を与えてみても全然駄目だったというくだりがありますが、実時間ではそこで一旦諦めて4ヶ月ほど活動が止まっています。その頃はしばらく本業にうつつを抜かしていましたが、その後少し業務が落ち着いたので手法を変えて試しつつ再開しました。

楽器として遊ぶために譲れないのは、音色、音域、応答性。楽器としてわりと譲りたくないのが外観。というスタンスでした。
逆に運用性や製作費は譲りすぎて、最終的に普段使っている電子ピアノより高価な楽器になったとか。あと、地震が来たら終わりです。


でもわりと狂っていて好きです。

システム

音が混ざらないように出力を分けるためと、リアルタイム波形生成の負荷分散のために複数マイコンを前提に考え、とりあえず家にあった Raspberry pi 3B を使って試作を始めてみました。

2オクターブ25音を目標にしていたので、オーディオ 25ch をカバーするためにマイコンも25個、…はさすがに思いとどまり、オクターブ違いの出力は共用にしています。
1マイコンあたりステレオ 2出力で、12種類の音階をカバーするため、マイコンは全部で 6個使っています。

本格製作を決め、いざマイコンを追加購入しようとしたら、コロナの影響で Raspberry pi が全く手に入らない想定外の事態でモチベーションが低下します。
結局メルカリで買い集め、鍵盤グラスハープ基幹部の大部分は中古品で構成されています。

また、出力を上げるために安いアンプ基板のモジュールを量産しました。回路系の知識はまるっきりですが、なるべくシンプルな形で地道に作ってなんとかしています。
一枚作ってみたらうまく行きそうでしたが、量産して USB 充電器でまとめて給電したらノイズが荒れまくりで、電源をバラにしたら静まってくれました。このあたりも素人感全開で勉強になります。

マイコン × 3 とアンプ × 3 のモジュールです。これを2セット作成。制作中、徐々に出せる音階が増えていくのが楽しかったです。

制御システム全容。マイコン間の通信を安定させるため接続は有線にし、ケーブル類が溢れました。内部に HUB など丸々格納している変態楽器です。


(まだまだ続きそうなのでまた次回)

鍵盤グラスハープ (2)

2020年5月5日火曜日

AR ピアノ - 春よ、来い

自由に外出できない日々なので、久しぶりにがんばってピアノ動画を作りました。
"AR ピアノ - 春よ、来い"


曲もギミックも過去動画の応用ですが、この blog を書く機会も少ないので少し製作の記録を残しておきます。

昔弾いた「春よ、来い」を思い出しながら練習していたところ、前回の動画では覚え間違いなどいまいちなところが多くて作り直したくなりました。

今回は AR 演出ですが、魔女の宅急便の動画で使った Unity 版でなくプロジェクションマッピング用のソフトを拡張して作った簡易 AR です。以前生放送で少し試したことがあります。当時の説明はこちらです。http://www.funnyfaith.net/2019/02/ar-piano.html

今回はマーカー配置やフィルタなどで安定化の工夫をして、わずかながらカメラを動かしても耐えられるようになったので、一部の構図では少しカメラを動かしてみました。
また強烈な脱線で、頭の体操がてらモノレールのようなレゴマシンを作って撮影しました。レールはプロジェクションマッピング用のスタンドから抜き取ったアルミ柱。


演出用の素材は本物の桜の花弁をキャプチャしました。以前のは薔薇の造花の花弁を色補正したインチキ版だったので、今回の密かなこだわりです。ただ、散った桜から作ったので動画は季節に間に合わず。

プロジェクションマッピングと比べて AR は器材設置や撮影が楽で良かったので、また何か作ってみたいです。やはり動画だとリアルタイム合成の効果が伝わりきらないのは残念なところですが。